polaris7onigawara7’s blog

私が積み重ねてきた小さな経験が少しでも誰かの役に立ちますように。🍀

空き家①-1

こんばんは。

 先日、空き家だと思い込んでいた家に人が住んでいる気配があることをお伝えしました。そのお宅には門塀はなく限りなく伸びきった草木に覆われ、公道と私有地の間に廃車が置かれている。ナンバープレートのない車が3台とナンバーのついた軽自動車が一台が乱雑に放置されている。。住宅街のなかでその家の周りだけが伸びすぎた木々のせいで薄暗く、時折鳥の鳴き声や羽ばたく際のバサバサッという音、風で揺れる葉のすれあう音がする異世界でした。自分が担当しているご利用者の家から近く、何度もその家の前を往復しているうちに自分の好奇心がどんどん膨らんでゆきました。
 9月も終わろうとしている日暮れが早くなった5時少し前に、その家の前を通った時に木々の向こうに見える古い家屋のガラス戸越しに、灯りが付いていることに気づきました。「えっ!!!!!!!..........?。」今までは足を踏み入れることなど考えもしませんでしたが、車いすが庭に捨て置かれていて、もしかしてお年寄りがいるのではないか、寝たきりになって助けを求めているのではないか、もしかして死....。
自転車を廃車のそばに止め、その敷地に足を踏み入れた瞬間に風がザーッと吹き木々や雑草がざわめきだしたように感じられた。ここはもしかして「トトロの森」かも?などと呑気に考えながら雑草と木々を押し分けながら家に近づいて行った。隣の家との境の塀の近くには壊れた2台のスクーターや自転車の一部と車いすがあった。どんどん家に近づいてゆくとそこにはトヨタのアリストの向こうに見えた車いすがありその背もたれの裏側に「東大病院 外来玄関 N-27」と白文字で大きくはっきりと書かれたいた。その車いすの座面にはスノウチェーンの箱が置かれていた。その家には縁側があり外の物干しざおには干しっぱなしの薄汚れた電気毛布が干されたままだった。開けっ放しの玄関の向こうからテレビの音がする。障子の向こうには電球のあかりがともっている。
「こんにちはー。どなたかいらっしゃいますか。」何度も呼びかけたが返事はなく、テレビから流れるニュースキャスターの話す声が聞こえるだけだった。もしかしたら、のっそりと部屋から出てきてくれるかもと期待しながら待っている間に周囲の観察を続けた。玄関横には「TOYOTA SPRINTER」の白い車が落ち葉にうずもれ、その横には1970年代~1980年代に出回っていたとナナハン(750cc)と思われる大型バイクが置かれていた。
「頼もう、たのもう!」と道場(どうじょう)破りでもするような気持ちで何度も声をかけてみたがやぶ蚊の餌食になり、ポストに名刺をいれたので困ったことがあったら電話してくださいと言い残し立ち去った。

TOYOTAアリストの隣には「東大病院」と銘打たれた車椅子が置き去りになっている。

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